20歳を過ぎるまでトマトが大嫌いだったという話

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誰にでも一つはあるであろう「嫌いな食べ物」

小さい頃から「好き嫌いをせずに食べる」ということを“自分ルール”の一つとして掲げていた僕にとって、”嫌いな食べ物”が存在していること自体があってはならないことだったわけです。

しかし、どうしても克服できない食材が僕にはありました。それは……。

トマト。

他の食べ物は何でも平気なのに、どうしてもトマトだけはダメ。

食卓に並ぼうものなら、無意識に箸で皿の端に寄せるほどの拒否反応を示し、給食で出てくれば食べたフリをして隣の子のおぼんの上にひょいっと置いてしまう。

それほどトマトが嫌い。嫌いというよりかは”この世にあってはならないもの”という認識だったのかもしれません。

これはそんなトマトに纏わるお話。

ある日、給食に「ミニトマト」が出てきた

当時、小学3年生だった僕は、毎日のように給食にトマトが出てくることに恐怖しながら生きてきました。

毎朝、家の冷蔵庫に貼ってある”今月の献立表”を眺めて、その日の給食にトマトがないことを確認してから登校する日々。

しかし、トマトが出てくる日も学校を休むことはありません。
僕には“とっておきの秘策”があったのです。

とっておきの秘策。

それは……。

同じクラスの女の子に食べてもらう。

はい、完璧。これ以上ないぐらいに華麗な作戦。
男のプライドなんてものは一欠片だってありゃしません。

基本、給食に出てくるのは“ミニトマトが2つ”
それらをどうにか消化することができるなら、あらゆる手段をも取る覚悟は出来ていました。

「トマトを食べると美人になる」という噂

というのも、ある時からクラスで「トマトを食べると美人になる」という噂が流れ始めたのです。
噂というよりかは、前日にテレビでやっていた”ためしてガッテン”的な番組でそんなようなことを放送していただけなのですが。

それからというもの、“クラスの美意識高い系女子”たちがこぞってクラス中のトマトをかき集め始めました。

当然、僕以外にもトマトが苦手な人は5〜6人ほどいまして、僕ら「トマト苦手民」からしてみれば願ってもないことだったのです。

そうしてクラス中のトマトを掻き集めた女の子たちは、給食の時間が終わってからも20〜30個と積み上がったトマトの山を食べていました。

トマトが出る度に、その女の子にあげる日々。

しかも、その女の子は僕の好きな女の子でした。

小学1年生から小学6年生まで片思い。
何度も一緒に遊び、何度もアプローチをし、小学6年生のときに覚悟を決めて電話で告白。
しかし、そのあまりのしつこさのために「気持ち悪い」の一言であえなく失恋。

……という後日談がありますが、今はこれはよしておきましょう。
人生でベスト3には入るであろう、最高に苦い思い出です。

トマトの食べ過ぎで催す彼女

その女の子がトマトを食べる姿は、良い意味でも悪い意味でも強烈でした。

「トマトを食べると美人になれるんだよー」と言いながら、黙々とミニトマトを口に頬張り続ける彼女。
給食の時間が終わってからもミニトマトを食べ続ける彼女を、僕は3つほど机を挟んで眺めていました。

すると、だんだんと彼女の目が据わってきて、様子がおかしくなってきたんです。

「ウップ、ウップ……」。

それでもミニトマトを運ぶ手は一向に止まる気配がない。

『この女の子の”美意識の高さを維持するモチベーション”はどこからやってくるのだろう?』とぼんやり考えていた最中。

はい。

残念ながら吐きませんでした。

ここは流れ的に大量のトマトをキャッチアンドリリースするのが定石ですが、現実はこんなものです。
人のとても気持ち悪そうな表情を眺めるのもたまには良いものですよ。えぇ。

そんなこんなで、「半年ほどの間、クラスの女子たちが狂ったようにトマトを崇めていましたよ」、というお話でした。

後日談

「トマトを食べると美人になれる」という噂で、これほどまでにクラスが湧いたので、僕も”とある噂”を流してみることにしました。

『紅生姜を食べるとケンカが強くなるらしい』。

はい、そんなわけありません。
ですが、小学生のときから好奇心旺盛だった僕は、この噂をクラス中の男子に回してみることにしたんですね。

でも。

紅生姜は、給食に滅多に出なかったようです。

ちなみに、今ではトマトが大好きです。

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