アツシくんにカタカナの「シ」と「ツ」の書き分け方を教えてみた

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今はもう辞めてしまいましたが、私は一時期ゲームセンターのお兄さんとして働いていました。

これはそのとき出会った、アツシくんとの思い出深いお話。人生で唯一、カタカナの「シ」と「ツ」の書き方をレクチャーした体験です。

ゲームセンターで忘れてはいけないコインゲーム

ゲームセンターにあるものといえば、妖怪ウォッチやドラゴンボールのカードゲームに、UFOキャッチャー、そして、音ゲーなどが真っ先に思い浮かぶでしょう。

そして、あともう一つ。

これなくしてゲームセンターを語ることができないもの、それが「コインゲーム」なのです。

ゲームセンターごとに用意されたオリジナルのコインを、いかに低コストで増やしていくか、という単純かつ奥深い遊び。
コインは10円玉サイズの銀色。100円で20枚と交換が可能。価値は5円といったところでしょうか。ただし、換金はできません。パチンコ屋ではありませんのでね。

私もコインゲームに熱中して遊んでいました。特に、恐竜が出てくる「なんとかザウルス」みたいなゲームが面白いんですよ。えぇ、もちろん勤務中でした。もう時効なのでこの場を借りて告白しておきます。

コインを引き出す際にはサインが必要

遊んだコインは店舗に預けて、次また遊びに来たときに引き出すことも可能です。その際は「お預かりカード」というものにサインをして頂く形になっています。

年齢に関わらず、極力お客さん自身のサインを頂くようにしています。家族や友達など、他人のコインを勝手引き出してしまわないように、サインで本人の物かを確認しているというわけ。

アツシくんは「ツ」と「シ」が苦手

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さて、今回のお話の主人公、名前は「アツシくん」。身長は130cmほど、おおよそ小学3年生といったところでしょうか。
カウンターの中で天井のシミを数えながら瞑想をしていたら、少年がコインを引き出すために私の元へテクテクと歩いてきました。

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いつもお客さんに対応するように、私はアツシくんに「お預かりカード」と「ボールペン」を差し出しました。
通常、ササっとサインを書いて頂き、すぐにご要望のコイン枚数をお渡しするのですが、アツシくんはどうやら時間がかかっている模様

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どうやら、自分の名前を書くのに手間取っているようです。
「アツシ」の「ツ」と「シ」が苦手なご様子。

これまでの引き出し履歴に書かれている、いくつかの「アツシ」のサインを見てみると、そこには、日本語ではない不思議な文字が。
“さんずい”のような、カタカナの”ミ”のような、正体不明の文字が並んでいました。

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そのとき、私は直感的に思ったわけです。

「ははーん、さてはこの少年、シとツの区別がついていないのだな?」

何を隠そう、私もある年齢に達するまで「シ」と「ツ」の区別が出来てきませんでしたからね。

私がじっと見ていることに気付いたアツシくん。

「おにーちゃん!シってさ、上から書くんだっけ!?下からだっけか!?」

目を真ん丸くして、輝く瞳でこちらを見上げてくる。おぉ、なんとまばゆいことか……。
この質問の意味を理解するのに少しばかり時間を要しましたが、おそらく、書き順の三回目、”ノを書くときの方向”を聞いていたのでしょう。

私は、丁寧にカタカナの「シ」と「ツ」の区別方法を教えてあげました
以前、自分がそう教わったように。

つまり、どのように説明したかというと。

「少年!ツは上から書き、シは下から書くのだ!」

そう。これが一番分かりやすい説明の仕方。

ここ日本という国は、世界でもトップレベルの識字率を誇り、その上、”漢字”、”カタカナ”、”ひらがな”という三種類の文字を使い分けています。
同じ読みでも違う意味、微かなイントネーションの違い、さらには前後の単語や文節によってその意味合いが決まる、という大変分かりづらい独自の文化を持っているわけです。

小学生が混乱するのも無理はないでしょう。バランスが取り辛い漢字だってありますしね。

ちなみに、私は”心”という漢字が苦手。何度書いても、どうにもバランスが悪く感じられ、しっくりとこない。
もしかしたら、心が歪んでいるから”心”という文字が書けないのでしょうか。話が逸れました。

一つ勉強になったアツシくん

肝心のアツシくんはというと、「”シ”は下(“シ”タ)から」という言葉のゴロの良さツボに入ってしまったようで、コインを渡し終えるまで終始「シは下から……、シは下から……」とぶつぶつ繰り返して呟いていました。

いやはや、小学生とは本当に純粋な生き物ですね。
なんとか、「シ」と「ツ」の書き分け方は理解してもらえたようです。

そうこうしているうちに、だんだんとアツシくんが繰り返し口にしている言葉が変化していき、「アツシは下から……、アツシは下から……」と言いながら去って行きました。

上からマリコ的な何かなのか、それは少しも理解できなかったのですが、これから「シ」と「ツ」をきちんと書けるようになってくれればいいなと思いながら少年を見送りました。

頑張れよ、アツシくん。

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